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高層ビルで観測する長周期地震動
 
長周期地震動により高層ビルは大きく長く揺れることがあり、建物の高さや構造の違いで揺れ方が異なります。その揺れ方はそれぞれの建物が持つ固有周期(揺れやすい周期)によって異なっており、一般的に高い建物ほど長い固有周期を持っています。2011年の東北地方太平洋沖地震時に西新宿の超高層ビルが10数分間にわたって大きく揺れたことや、震源から遠く離れた大阪で長周期地震動による被害が発生したことを記憶している方も多いのではないでしょうか。弊社では、都内の高層マンションに小型地震計EPDP-CUBE 311を設置して随時観測を行っています。2021年上期に東北地方で発生した震度5強以上の地震を2回観測しており、どちらもS波到達後に建物の固有周期である約3秒の揺れが続いている様子が確認されています(下図データ①②参照)。
 
 
  小型地震計EPDP-CUBE 311は、12cm角のサイズに加速度計センサ、メモリ、表示部など地震計としての必要な機能が凝縮されたコンパクトな地震計です。地震発生時には1秒毎に最大加速度、震度(相当値)、SI値を演算、全面パネルに表示されると同時に震度情報、波形記録は内蔵のSDカードに保存されます。免震ビルの性能評価、建物・施設の地震時の揺れの観測や地震時の初動対応に最適の機種です。

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小型地震計EPDP-CUBE311
 
 
波形データ ①
震源情報:2021年3月20日 18時09分頃
     宮城県沖 発生

観測場所:都内高層マンション 震度3
長周期地震動階級1

 
 
 ◎加速度波形
 各方向の最大加速度は東西20.5gal、南北9.3gal、上下11.5gal
 
 
 
 波形データ ②
震源情報:2021年2月13日 23時07分頃
     福島県沖 発生

観測場所:都内高層マンション 震度3
長周期地震動階級1

  
 
 ◎加速度波形
 各方向の最大加速度は東西35.8gal、南北25.6gal、上下29.6gal 
 
 
 
  「震度」に比べると、まだ広く一般には知られていませんが、気象庁では1以上の「長周期地震動階級」を観測した地震について観測情報を発表しています。上に示したデータ①、データ②はその例であり、弊社の小型地震計EPDP-CUBE311でも、長周期地震動による高層マンションの揺れをとらえています。加速度波形の赤枠が長周期地震動により揺れ続けている状況がわかり、パワースペクトルからその固有周期が約3秒であることがわかります。弊社のコンパクト微動計「びどえる」では、平常時の「常時微動」を測定することにより、固有周期、減衰定数を求め、その結果をもとに、建物の地震被災や劣化などによる建物の健全度を評価することができます。  

観測担当者より
 
 
 
  コンパクト微動計びどえるは専用ソフトを搭載したノートPCと3成分度センサから構成、可搬性に優れた装置で建物や構造物の固有周期や減衰定数といった振動特性の解析ができます。リアルタイムに波形およびスペクトルを表示すると同時にRD法による固有振動数・減衰定数を演算、さらに長周期域補正を行うことで、最長で5秒程度の周期までの測定が可能で、近年懸念されている長周期地震動による高層建物の測定ができ、地震防災対策に役立てることが出来ます。

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コンパクト微動計
びどえる
 
 
 
 
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